専門研修

Program産婦人科シニアレジデント(後期研修)プログラム

当院は千葉県東部(東総地区)(茨城県南部を含む)の高次医療を広範囲に担っている大規模公立病院です。産科の年間出生数は約1,100名で、新生 児科(年間約300名)も有し、多くのハイリスク妊娠を担当しています。悪性腫瘍の治療、不妊、更年期治療もおこない、地域の健康に大きな役割を果たす一 方、専門医資格取得に向けて優れた医師を育成しています。

業務内容 産婦人科の外来、病棟、手術、当直業務、そのほか学会発表や記録、統計などに参加し、実際の経験を豊富に修得しながら、一緒に勉強してもらいます。専門医資格取得も目標とします。新生児科、麻酔科など他科研修希望のある方は相談に応じます。
後期研修の内容 現実の患者さんの存在や他の医師との兼ね合いにより左右されますが、おおむね下記のごとくです。
卒後3年目
  • 外来と病棟を曜日毎に分担して担当する。ただし経験が増すまでは上級医とともに行う。原則として産科外来1~2日、婦人科外来2~3日、病棟担当1日としている。原則として、外来で担当した患者の入院後は担当医となる。
  • 手 術関係としては、単純子宮全摘術、附属器関係の手術、帝王切開術などの第二助手第一助手を習熟後、執刀医となる。平成18年度のおおよその執刀数は、単純 子宮全摘術(15件)、附属器の手術(20件)、帝王切開術(35件)などであった。その他、悪性手術の助手(5)、腹腔鏡の助手(5)などが含まれる。
  • 産科関係では、経腟分娩担当数は約130件であり、鉗子吸引骨盤位は各々若干数であった。
  • 当直はおおよそ5~6日に1回行う。院内の初期臨床研修医と応援医が2名で計4名の体制が組まれ、安全を図っている。
卒後4年目・5年目 スケジュールが大きく変化することはないが、上記の術者のほか、悪性腫瘍手術の第一助手のち術者、腹腔鏡の術者などが増加する。余裕に応じて、他科や他院での研修も行っている。
カンファレンス 毎朝、毎月曜夕方、毎金曜夕方があり、情報の共有と検討に努めている。
学会などの発表 年に数回行うことを目標としている。

Program旭中央病院における臨床研修 -現状と展望-

平成16年度からの卒後研修体制の変化を鑑み、当院産婦人科もよりよい研修体制づくりを検討しているが、研修医制度の充実化は指導医たちの知識・技術の向上と表裏一体であり、研修医とともにわれわれ指導医もつねに向上心を持ち、日々進化するように努力している。

まず、当院産婦人科の基本姿勢として以下の4項目を重要と考える。

  1. 基本的な知識・技術の習得。
  2. 安易で画一的な考え方を排除し、広く知識を得て、その中から判断する能力を身に付けること;マニュアルしか読まない医者の否定。
  3. 学閥はなし。産科婦人科学に意欲のある医師に広く門戸を開く。
  4. コミュニケーションを重視し、チームワークの重要性を理解する。

さらに研修医諸君が当院で研修を行うにあたり、当院産婦人科の特徴として以下の項目を挙げることができる。

  1. 症例数の多さ。分娩数1,100件/年、手術数65O件/年をはじめ、救急患者も多い。
  2. 当 院は千葉県地域周産期母子医療センターに指定されているので、周産期医療のトレーニングを十分行うことができる。とくに、日本トップクラスの周産期医療セ ンターである鹿児島市立病院などで臨床をおこなってきた経験を活かし、単に産科側の視点からではなく、新生児科側からの視点も考えて母体・胎児の管理を行 う姿勢を身につけることができる。
  3. 周産期医療センターはある程度の規模の新生児医療センターを有すれば、名前をつけることは できる。しかし、我々が目指しているのは周産期医療センター産科部門としての真の理念、知識、技術の習得である。胎児生理学や形態学の習得なしに胎児心拍 モニターや超音波診断を十分に理解・実践できるはずもなく、名前だけの周産期医療センターではないことを実感してもらいたい。
  4. 悪 性腫瘍の症例も多く、緩和ケア施設も充実している。広汎子宮全摘術を含めた悪性腫瘍の手術も術者としてのキャリアに合わせて積極的に担当してもらってい る。研修医にはまだ早いという考えもあるが、研修医の手術の習得状態で手術の難易度を上げていっていいのではないかと思っている。自分で責任をもたされて 考えていく中で、よりしっかりとしたものを身につけることができるものだと思う。中途半端な知識や技術のままで年齢がかさむと単なる"評論家"となり、そ れ以上の知識や技術の習得を受け付けなくなる可能性がある。かえって危険だと言わざるを得ない。
  5. 医療機器の充実。当院は開院以来の黒字経営で、医療器機の購入にも前向きである。例えば、超音波装置は婦人科外来に5台、産科外来に4台、病棟に5台、新生児室に1台(新生児の心臓評価のため)を有しており、毎年新たに購入、更新していく方針としている。
  6. 医師全員が病院の敷地内に住んでいることから、緊急時10分前後で数人の医師が集まる。したがって、研修医が一人で当直をしていても指導医にコンサルトしやすいし、指導医も病棟へ直接行って自分の目で確認しやすい。
  7. 図書室の充実。数多くの医学雑誌を購入している。図書室専属の事務が日々整理しているので非常に利用しやすくなっている。
  8. MD consult、UpToDate、医学中央雑誌などの医療検索ソフトの充実。産婦人科は病棟や外来でも検索できるので、すぐに臨床面に活用しやすい。

そして、今後の産婦人科の展望としては

  1. 臨床研究の重視;旭中央病院の医療を世界に発信することができるような研究体制をつくる。
  2. 系統講義をはじめとする研修医向けの講義の充実化。講義を通じて日常の臨床経験を理論的な面からサポートする。
  3. 一線で活躍している臨床医を講師として招き、知識を得るとともに、彼等との交流を図る。

以上、臨床医としての研鑽のみならず、産科婦人科学の未開の領域を追求する意欲を常に持ち続ける医師になることが目標である。研修医諸君には狭小な視野に陥ることを退け、常に高い目標をもって臨床にのぞんでもらいたい。

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